遊郭の中に秘められた意味とは?知る人ぞ知る花街で生きた花魁

遊郭の中に秘められた意味とは?知る人ぞ知る花街で生きた花魁

江戸時代や遊郭を舞台にしたドラマやアニメを見ていると、花魁が登場することがありますが、皆さんは花魁とは何かご存じですか?

断片的な花魁のイメージはあるかと思うのですが、あまり知らないことも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、花魁の意味や位、歴史やしきたりなどをご紹介したいと思います。

どうして遊郭にのみ住んでいた?隠された花魁の意味を調べてみた

華やかな遊郭で優雅に暮らしているイメージがある花魁。

なぜ花魁は遊郭の中にしかいなかったのか、どのように暮らしていたのかをみていきましょう。

花魁とはどういう意味?

花魁とはどういう意味?

花魁とは、公許の区画である遊郭に住んでいる遊女の中の最高位「太夫(たゆう)」 の遊女を指します。

言葉の語源は、太夫の見習いの少女たちが、太夫のことを「おいらんちの姉さん(わたしの店のお姉さん)」と呼んでいたことと言われています。

また、関西では最高位の遊女のことを、位のまま「太夫」と呼んでいましたが、吉原(江戸)で花魁呼びが一般化したことで、遊女の最高位=花魁が定着したと言われています。

※太夫も後に廃止され、最終的に花魁と呼ばれる位は散茶女郎になったと言われています。

花魁の位とは?

花魁の位とは?

遊女の位は、時代や時期によって異なります。

そのため、順を追って花魁の位についてご紹介します。

遊郭設立当初

  1. 太夫
  2. 端女郎(はしじょろう)

遊郭ができた当初は、遊女の位は2つしかありませんでした。

また、この頃はまだ太夫=花魁とは呼ばれていなかったと言われています。

遊郭設立からしばらく経った頃(太夫=花魁)

  1. 太夫(花魁)
  2. 格子
  3. 端女郎
  4. 切見世女郎(鉄砲女郎)

遊郭設立後、徐々に遊女の人口増加に伴い、美しさ・教養・稼ぎ具合から位が細分化されました。

この頃になると、太夫=花魁と呼ばれるようなり、一部のお金持ちの遊び場として遊郭が栄えていました。

また、一番位が低い切見世女郎(きりみせじょろう)は、安価で多くのお客様をとるため、衛生面の問題から流行り病にかかり亡くなってしまうことが多かったとされています。

そのため、お客自身も流行り病にかかる可能性があるという意味から、例えで「鉄砲女郎」という別名がついています。

遊郭設立からしばらく経った頃(散茶女郎=花魁)

  1. 太夫(廃止)
  2. 格子(廃止)
  3. 散茶女郎(花魁)
  4. 端女郎
  5. 切見世女郎(鉄砲女郎)

太夫=花魁だった頃から更に時間が経った頃になると、散茶女郎という位が権力を持つようになりました。

散茶=挽き茶のことで、煎茶は袋に入れて沸騰中に出しますが、散茶は出しません。

そのことから、太夫や格子などお客と振ることがある遊女とは違う、お客様を振らない遊女=散茶女郎と呼ばれるようになったと言われています。

散茶女郎は格子の下の位になるのですが、遊郭遊びが庶民化し、高額・振る可能性がある太夫や格子の位は徐々に廃止されました。

そのため、最終的に散茶女郎が位の最高位となり、花魁と呼ばれるようになったのです。

花魁はどのように誕生し消えていったのか

花魁はどのように誕生し消えていったのか

花魁の始まりとなるのは、日本の歴史の中で最も長い歴史がある江戸時代です。

江戸時代、遊女屋が各地に存在していました。

ですが、治安や風紀の乱れを起こさせないために、徳川幕府が遊女屋を公許する代わりに土地のある区画にまとめました。

これが「遊郭」と呼ばれる、全国から少女が集まり遊女として暮らす場所の始まりです。

有名な三大遊郭は、「吉原遊郭(江戸)」「島原遊郭(京都)」「新町遊廓(大阪」とされており、中でも吉原遊郭は日本一の花街と呼ばれ、遊女が約1000人いたと言われています。

数百いる遊女の中でも花魁になれるのは一握りで、花魁となった遊女は「城が傾くほどお金がかかる」と例えられるほど権力を持っていたとされています。

しかし、そんな花魁が活躍する遊郭も永遠に繁栄とはいきませんでした。

時代が変わり、明治時代に入ると徐々に遊郭は減少していき、1957年(昭和32年)4月1日の売春防止法によりなくなってしまいました。

花魁の暮らしにしきたりはあった?

花魁の暮らしにしきたりはあった?

遊女の中でも位が高い花魁。

その花魁と共に時間を過ごすには、お客様と言えど様々なしきたりが存在していたと言われています。

数あるしきたりの中から、厳選して3つご紹介します。

1.会話が出来るのは「馴染み」から

花魁を指名したい場合は、「初回」「裏」「馴染み」の3段階を経る必要があります。

「初回」と「裏」の段階では、客は花魁と会話ができません。

この時、花魁は客からのおもてなしで財力を判断し、自分にふさわしいか品定めします。

「馴染み」の段階になって、花魁が客を自分にふさわしいと認めたという意味で、客は初めて花魁と会話や共に飲食を楽しむことができます。

2.「馴染み」後に他の遊女を指名=浮気

「馴染み」になった後、客は他の遊女を指名し遊ぶことは、浮気したとみなされます。

浮気した場合は、客はお詫び金を支払わなければいけんかったと言われています。

3.客よりも花魁が上

座敷では、客は常に下座、花魁は上座に座ることになっていました。

これは、花魁は客よりも位が上という意味を示すためだったと言われています。

奥が深い!遊郭の中で完結されていた花魁の世界

今回は花魁に関する意味や歴史、しきたりなどをご紹介しました。

生まれた意味や歴史、位やしきたりなど、知れば知るほど奥が深い花魁。

ちょっと知識があるだけで、ドラマやアニメなどの花魁の見方が変わりおもしろいかもしれませんね。

今回ご紹介できなかった、花魁の言葉「廓言葉」について以下の記事でご紹介しているので、是非ご覧になってみてくださいね。

意外とあなたも使ってる?実際に使われていた花魁たちの言葉

この記事のライター

京の花魁